INTERVIEW 車両×運転篇 Jun. 2015 Update

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「車両部センター」インタビュー「お客様センター」インタビュー

車両基地で完全整備車両がうまれ、運転士の確かな運転技術でお客様の待つ駅へ

安全・安心に車両が走行するための、ベースを担う車両部

東京メトロの安全な車両の運行は、車両部で行われる定期的なメンテナンスの上に成り立っていると言えます。車両がどのように整備され、「完全整備車両」となっていくのか、車両を整備するプロフェッショナルにお話を聞きました。

最初のユーザーである運転士と車掌へ、安全・安心のバトンを渡しています

──東京メトロの車両は、どのように整備されているのでしょうか。概要を教えてください。

営業車両のすべては、車両基地で定期的に検査・補修されています。その保守施設である車両基地は、大きく分けて「検車区」と「工場」の2つに区分されています。「検車区」では、日常的な実施周期の短い検査(「列車検査」や「月検査」など)を行い、「工場」では、数年に一度行われる大がかりな検査や補修を行っております。

──主に「検車区」と「工場」の2つに分かれて整備されているということですね。では、それぞれで行われている作業を教えてください。

「検車区」では、台車やモーター、ドア、バッテリー点検などの機器類が正常に動くかどうかの検査をします。10日以内に行われる「列車検査」と3カ月以内に行われる「月検査」などがあり、「列車検査」では、消耗品や車両の主要部分について主に目視による検査をします。「月検査」は「列車検査」よりも時間をかけ、車両の主要部分の状態や機能について精密に検査をします。そのほか、車輪の転削や車両の清掃などを行っています。

「工場」では、車両を分解して行われる大がかりな検査が行われます。こちらでは大きく分けて「全般検査」・「重要部検査」・「臨時検査」の3つの検査を担っています。4年または60万キロメートルの走行、いずれか短い期間ごとに車両の主要部分を分解・検査・修繕するのが「重要部検査」。8年以内に行うものが「全般検査」です。「臨時検査」は、定期的な検査のほかに、新車を導入したときや大規模な改造や修繕を行ったときに実施する検査となります。

──車両は定期的に工場に入り、不都合がないか徹底的に検査されるのですね。車両を人間に例えるなら、まさに人間ドックのような検査だと分かりました。では、工場で行われる検査を詳しく教えてください。

工場に入った車両は、まず「台抜き」という作業が行われます。リフティングジャッキで車体を持ち上げ、ボディの部分と車輪の周りの装置(台車)に分離するのです。その後、車体と台車はそれぞれさらに細かい部品に分解され、「車体職場」・「台車職場」・「機器職場」など各部署に運ばれます。徹底的に点検・整備された後は、再びもとの姿に組み立てられます。これを私たちは「台入れ」と呼んでいます。台入れの後、さまざまな試験や試運転を行い、問題がないことを確認してようやく営業運転に復帰できるのです。

──このような大規模で緻密な検査が行われているとは大変驚きました。非常に神経を使うお仕事だと思いますが、日ごろの心がけ等を教えてください。

小さなネジ1本の緩みも故障や事故に繋がる可能性がありますので、細かいところまで気がつけるように、愛情と緊張感を持って手入れをし、作業に取り組んでいます。ご乗車するお客さまに対し、安全・安心な運行を担うのが列車を運転する運転士や車掌だとしたら、私たち車両整備をする者にとって、運転士や車掌が最初のユーザーと言えます。日本は世界トップレベルの鉄道技術や最先端の検査機器を持っていますが、機械だけに頼らず、やはり最後は各整備士の人間の感覚が大切なのです。そこで初めて「完全整備車両」となり、運転士や車掌に安全・安心のバトンを渡しています。

車掌と運転士の密なパートナーシップにより、安全にお客さまを目的地へご案内する運転部

車両部で整備された「完全整備車両」は、運転士に引き継がれ、お客様にご乗車いただく「列車」となります。列車を運行させる運転のプロフェッショナル、車掌と運転士に業務内容についてお話を聞きました。

安全に列車を運行させることができるのは、車両部で整備された「完全整備車両」があるから

──でははじめに、運転士さんと車掌さんの役割について教えてください。

列車の運転を任される運転士は、秒単位の正確な時間での運行とお客さまの安全を常に意識しながら、日々の業務を遂行しています。これには、車掌との密なパートナーシップが欠かせません。
車掌の仕事は、運転士と一緒に列車に乗り、ドアの開閉や車内アナウンス、車内空調の調整などを行います。また、お客さまの安全を確保することも車掌の大切な任務のひとつです。例えば10両編成の車両であれば、先頭から最後尾まで約200m、40のドアがあります。列車が駅を発車する前、列車の窓から瞬時にかつ確実にホームの安全を確認するのです。運転士が安全に列車を運行できるよう、目を光らせているのが車掌なのです。

──運転士と車掌の連携は非常に大切ということですね。日本の地下鉄は秒単位で運行しており非常に優れていると言われていますが、どのように運行されているのでしょうか。

停車駅ごとに、秒単位で停車時間が決められています。到着時刻はもちろん、ドアを開けてから15秒、20秒、25秒…と5秒刻みで出発時間が決められています。これは駅や時間帯によっても変動します。時計は「あと何秒あるのか」が一目で分かる懐中時計を使用。経験から得た自分の体内時計と照らし合わせ、正確な運行に役立てています。

──安全と正確さが求められる運行に慣れるには、研修センターでの徹底したシミュレーター訓練があるとお聞きました。

運転士や車掌は、現場に出る前に必ず、技能講習用の最新シミュレーターを使って訓練をします。これはCG技術の向上により駅構内や沿線の建物などが、実際と変わらないほど非常にリアルに作られています。ここで運転士や車掌は、熟練した教官の指導のもと、徹底的に技能を教え込まれ、合格したものだけが現場に出ることができるのです。

安全で正確な運行には、運転士さんと車掌さんの高い技術、そしてお互いのパートナーシップが不可欠。そのベースには、車両部で丁寧に整備された「完全整備車両」の上で成り立っており、お客さまを安全に目的地までご案内するという業務に集中できるのは、車両部への厚い信頼があってこそ、ということが理解できました。

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