COLUMN 総合研修訓練センター篇 Jan. 2017 Update

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SAFE & SECURE 004総合研修訓練センター
ー人財育成の仕事編ー

今回CM・ポスターで切り取ったのは、東京メトロ 総合研修訓練センターでの研修・訓練について。
ここでは、CM・ポスターだけでは伝え切れなかった「人財育成の仕事」について、もう一歩掘り下げてみたいと思います。
ちょっとだけ東京メトロ通になれる社会科見学、略して「メトロ科見学」へ、ようこそ!

01学ぶために、「現場」をもってきました。

2016年4月1日、新木場に「総合研修訓練センター」が誕生しました。
ここは、東京メトロのあらゆる現場が再現された人財育成の総合拠点。
技術とマインドを磨くための現場と直結した学びの場を
ちょっと深堀りしてみましょう。

現場力と総合力を
育む場所
総合研修訓練センターでは、実際の列車が走行する駅やトンネル・架線※・指令所など現場を再現した設備を活用し、研修・訓練を行っています。さらなる安全・安心の実現のため、現場力を磨き、総合力を日々高めています。
※架線:電流が流れる電車線のこと。詳しくはこちら。
訓練線
訓練線
総延長約700メートルにおよぶ訓練線。模擬駅ホームへとつながり、列車が走行する「運転実習線」と、列車が走行しないため、非通電で失敗や感電を恐れずしくみを学ぶことができる「技術実習線」、「高架橋」などから成る。
模擬駅ホーム
模擬駅ホーム
コンコース・エスカレーター・エレベーター・ホームドアなどの設備が再現された模擬駅ホーム。訓練時は実際の列車が走行し、リアルな現場で技術と知識を体得できる。
研修棟
研修棟
各所に点在していた研修施設を統合・充実させた研修棟。仮想運転訓練ができるシミュレータ室、散水装置により浸水の状況が体験できるスプリンクラー教習室、信号装置や連動操作盤が設置された信号教習室など、実践的な設備で総合的に学ぶことができる。

総合研修訓練センターができて
変わったこと

時間的な
制約からの解放
営業時間外の限られた時間の中で、検査と並行しながらの実地訓練が主流であった従来と比べ、いつでも本物同様の設備に触れながら、制約を受けずより深く知り、学べるようになった。
失敗できる価値
これまでの実地訓練では、実際に使われている設備を壊すことや失敗することは決して許されなかったが、この場では「失敗を恐れず」実体験し、失敗から学び、経験値と技術の蓄積・向上を加速させられるようになった。
鉄道業界の発展に貢献
長い年月をかけて築き上げてきた、東京メトロの地下鉄運行システムやノウハウを、国内外の鉄道事業全体の発展のために伝える場としての活用も推進。
気持ちを育み現場力を高める
部門・役割や世代の違う社員が自然に集えるようになったことで、新たな交流が生まれ、理念や気持ちの共有と、技術・技能の伝承がスムーズに。現場のお客様を想像する力を磨くことにもつながっていく。

02異なる技術と視点がまじわる価値。

総合研修訓練センターができてはじめて実施可能になった「部門横断訓練」。
路線ごとに各部門の社員が集い、
現場同様の車両・設備を使って「シナリオのない」訓練を行っています。

部門横断訓練とは?
過去に営業線で発生したトラブルの事例を題材に、模擬駅ホームや訓練線エリアを活用して行う訓練です。部門ごとではなく、路線ごとに各部門の社員が集い、訓練を実施。トラブルの状況のみが伝えられる中、その解決を目指して部門を横断してチーム一丸となって行う、シナリオのない訓練です。

部門横断訓練レポート

2016年10月26日の部門横断訓練
訓練
「運転の途中にパンタグラフが損傷」

※パンタグラフ:電流を架線から車両に導き入れる集電装置のこと。

13:00
模擬駅ホームにて
事案発生のサイレン

運転士「車内確認、車両確認。異常発見!パンタ発煙」

運転士がパンタグラフの発煙異常を発見し、総合指令所に報告が入ったところから訓練開始。サイレンが鳴り響く。

13:02
総合指令所より現地対策本部の設置を指示

総合指令所「センター中央駅第2車両パンタグラフより発煙を確認。これより初期消火及び、車内にいらっしゃるお客様を誘導してください」

様々な情報を連携させ現場の輸送管理を行う総合指令所からの各種指示とともに、各部門に出動要請がくだる。

13:05
現地対策本部を設置

現地対策本部長「ただいま現場に到着し、現地対策本部を設置しました!」

現地対策本部長は現場の司令塔として、報吿・指示を行い、同時並行的に起こる他部門の動きを把握し、即時判断する。

13:06
乗務員と駅係員によるお客様への呼びかけと下車誘導

駅係員「繰り返しお客様にご案内いたします。電車から発煙が確認されました、ただいま誘導を行いますのでお待ちください」

訓練中、乗務員と駅係員がお客様への状況説明を絶えず行い、動揺を防止しながら適切な誘導を行う。並行して駅係員が消防・警察署への連絡も行う。

13:08
車両部と電気部が現場に到着

車両部員「車両部6名が到着しました」

電気部員「これより現地対策本部長の指揮下に入り、原因を究明します!」

総合指令所と現地対策本部長より、各部門に点検指示やお客様の誘導指示が出される。

13:15
工務部と改良建設部が現場に到着

現地対策本部長「き電※停止確認中です。指示するまで待機してください」

※き電:架線を通じてパンタグラフへ電気を供給すること。

13:20
各部門が軌道での点検を開始

車両部員「右よし、左よし、足元よし!」

作業員の感電防止のために行うき電停止の確認後、車両部が屋根上でのパンタ点検を実施。電気部は架線点検を行い、工務部、改良建設部も許可を得て、軌道内での点検を開始。

※軌道:電車が通る線路のこと。

13:53
原因究明完了。処置を行う

車両部員「第2車両のパンタノーヒューズ。第2車両の床下高圧スイッチ切り処置完了。現在この車両は自力運転不能です」

電気部員「短絡線※の取り外しを行うため軌道に入ります」

工務部、改良建設部より軌道に異常がないことがわかったが、車両部よりパンタグラフが破損しているとの報告が。車両部、電気部で適切な処置を施す。

※短絡線:作業員の感電を防ぐ器具。

14:12
各部門が軌道での点検を完了

電気部員「き電確認※し、作業員もホームに上がっています」

※き電確認:架線に電気が流れていることを確認すること。

14:13
現地対策本部長より最終指示

現地対策本部長「自力運転が不能なため、これから併合推進運転※での回送運転にします。運転士は運転室にて待機してください」

※併合推進運転:車両を連結させ、故障車両を救援車両が押すように運転すること

14:25
ここで訓練終了

参加者合同ディスカッション

訓練を通じてそれぞれが得た気づきを発表・共有しながら、受講者同士の対話を促し、連携の強化と異常時の迅速な対応力向上を目指す。

02私たちは、学びの媒介者です。

「お客様の安全・安心のために」。
大きな使命に向かうための、レールを組み立てる役割があります。
東京メトロの人づくりを支える人材育成担当者に聞きました。

見ること、見られることで
気づきが深化する

営業部営業企画課 阿部豊志 課長補佐

見る・見られる体験の場

現場と同じシチュエーションを再現し、本物の設備を活用しながら「見る・見られる」意識を醸成できるようになったのが、総合研修訓練センターができた意義だと思います。
特に私たち営業部は、駅業務でお客様から見られる立場ですから、気遣いのあり方が磨かれるのではないかと考えます。私たちの研修の様子を、ふだん営業時の駅にいることのない部門の方が見ることによる、気づきもあるのではないでしょうか。
研修では、接客の基盤となるマニュアルを使用しつつも、「その上でそれぞれが工夫してお客様に向かってください」と伝えています。画一的ではない応対を通じて、お客様にあたたかみのあるサービスを届けてほしいという願いからです。
ここでの研修・訓練を通じて、参加者それぞれが磨いた技術とお客様への想いを、きちんと共有していきたいですね。

見る・見られる体験の場のイメージ
視線の交換が意識を磨く

各部門の社員がここに集うことから生まれる気づきも大きいと思います。
たとえば「部門横断訓練」では、営業部の社員が普段知ることができない技術系の業務を知ることができます。すると、運行が復旧するまでの過程で駅での対応中にはわからなかった部分や、復旧するまで待っていた時間で何が行われていたかなど、トラブルに対応する他部門の動きや苦労まで身近に感じ取れるようになります。そうした視線のまじわりによって、現場でも自然な協力体制がとれるようになり、互いに高め合う雰囲気が生まれてくると実感しています。

視線の交換が意識を磨くのイメージ
学びの質が問われている

ここでは、我々人財育成の担当者がどのような学びの価値を提供できるかが問われています。設備が整っているので、言い訳のしようがないですね。
「お客様のために」という想いを真ん中に置いてさえいれば、それぞれが進める学びのしくみは違ってもいても良いと思うんです。多様な学びのあり方を築き上げ、力強く社員を引っ張っていくことが、私たちの役割です。やるべきこと、できることは山ほどありますし、学びに終わりはないので、これからも積み重ね続けていきたいと思います。

学びの質が問われているのイメージ
SSC
(ステップアップステーションセンター)

駅構内を再現した設備。接客応対研修や駅の機器故障時の訓練などで活用されている。吹き抜けになった上部から研修の様子が見えることにより、他部門の社員でも駅業務を見て知ることができる。
また、お客様への多様なご案内パターンの再現ができるように設計されている。

SSC(ステップアップステーションセンター)のイメージ
  • 券売機
    券売機のイメージ
    種類の異なる券売機が揃い、接客画面やボタンの位置の違いなども研修で学ぶ。
  • 自動改札機
    自動改札機のイメージ
    駅によって置かれている機種が異なるため、ここに全種類の実機を揃えている。中の構造を知ることもできる。
  • 案内カウンター
    案内カウンターのイメージ
    オープンカウンターとウィンドラッチカウンター※があり、それぞれの違いによる接客対応のノウハウを学ぶ。
    ※ウィンドラッチカウンター:開閉式の窓がついたカウンターのこと。
現実以上の学びを
修得できる場所

電気部電気企画課 佐藤正博 課長補佐

現場では絶対にできなかったこと

これまで電気部では、駅にある実機を用いて訓練を行ってきました。そうすると、絶対に壊すことはできません。営業線の緊迫感の中で電気を動かすため、細かいところまで触らせてあげることは、したくてもできなかったのです。
研修訓練センターでは、壊すことを恐れず、手が出せなかったようなところまで触れて学べるようになりました。技術が身につくスピードは、実物を触るのが一番。学びを加速させ掘り下げることができる、大きな変化が起こったと感じています。

新旧設備が揃うことの意味

新しい建物ではありますが、最新の設備だけではなく、過去に使用されてきた機器も残しています。現在は電子化が進み、自動で動かせるものも多いのですが、研修時に「こういう仕組みで電車が動いているんだ」と目で見て確かめられることが重要だと感じています。旧い機種は構造がシンプルなので、機械の仕組みを理解しやすいんですね。若い世代への技術継承としても活かされているのではないでしょうか。
電気部は変電、電機、信通とそれぞれの担当がありますが、自らの専門分野を超えて電気部全体で扱う設備を網羅的に学べることで、社員の視野が広がっていると思います。

お客様に意識を飛ばす

「確かな技術でお客様に“安全”と“良質なサービス”を届けよう」が電気部のスローガンです。これを行動で表すためには、電気にまつわるあらゆることを、現場の関係者がつながり知恵を集結させて学びあうことが必要だと考えます。そのため、今後は社内だけでなく、業務を委託している関連会社さんとも連携した訓練をするための検討を進めています。
電気部は、直接お客様に接することのない部門です。けれど、それぞれが持つ「当たり前に電車を走らせる」という意識と責任感の先に、お客様の毎日があることを、人財育成を通じて伝えていきたいと思います。

電気教習室

営業線の電気設備を備えた教室。時間的な制約がない中で、装置の仕組みや操作方法を触れながら学ぶことができる。

電気教習室のイメージ
  • 転てつ装置
    転てつ装置のイメージ
    1つの線路から他の線路に分けるための装置で、一般的に分岐器という。電気または手で動かすことができ、訓練では装置の構造を学ぶことができる。
  • 直流高速度遮断器
    直流高速度遮断器のイメージ
    電車線に電気を供給するための設備で、その構造を学ぶことができる。
  • 研修用モニター
    研修用モニターのイメージ
    電気の流れを視覚的に学べるように開発されたタッチパネル式のモニター。電気教習室の設備と連動している。

メトロ科見学「人財育成の仕事編」を最後までご覧くださりありがとうございます。
今日も、新しい取り組みに挑戦しながら総合研修訓練センターで社員が研修・訓練に取り組んでいます。
お客様にとって安全で快適な毎日のために。
ぜひ、CM・ポスターもご覧ください!

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