INTERVIEW 利便性・快適性の向上篇 Apr. 2019 Update

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駅で、ホームで、
どんな情報があれば
お客様の便利や
快適につながるのだろう。
~サインシステム/自動旅客案内装置の担当者に聞きました~

東京メトロ誕生から15年。発足当時、まず一新したのが「サインシステム(駅の案内看板)」でした。新たなサインシステム基準を制定し、「乗るときは青・降りるときは黄色」を基本ルールとして、2005年~各駅に改良したサインを順次展開していきました。近年、海外から日本を訪れるお客様は年々増加しています。またシニア世代のお客様も増え、駅でのご案内に求められるニーズも大きく変わりつつあります。ふだんみなさんが何気なく見ているサインが、どのような点にこだわってつくられているのか。担当者の2人に聞きました。

全駅の駅社員にヒアリングして
情報をピックアップ!

鉄道本部 営業部 施設課 安倍謙二
鉄道本部 営業部 施設課 安倍謙二

安倍:東京メトロでは、2015年に新しいサインシステムの基準を作成しました。現在、2019年度内をめどに、各駅の案内看板は新しい基準に基づいたものに、順次移行しています。新しいサインシステムのポイントは3つあります。

  1. 外国人利用者に向けた機能の充実
    • 多言語表記(日本語・英語・中国語(簡体字)・韓国語)の拡大
    • 駅ナンバリング・ピクトグラム表記の追加
  2. 駅設備・周辺施設案内の強化など、シニア・ライトユーザー向け案内の充実
  3. 各種案内サインの集約・統合および配置の見直し

とくに「駅周辺施設案内の強化」は、お客様にとって必要な情報は何かを精査しながら行っています。たとえば、これまでホームの案内看板では出口の方向を示し、駅周辺施設については、看板の下部に、比較的小さな文字で均等に案内していました。新しいサインシステムでは、東京メトロ全駅の駅社員にヒアリングを行い、お客様からの問い合わせの多い周辺施設のうち、3か所までをピックアップして、大きな文字で表示するようにしました。

案内看板
お問い合わせが多い周辺施設をピックアップして掲載(大手町駅)

お客様の心理状態を考え、
見やすい自動旅客案内装置へ!

鉄道本部 営業部 旅客課 多田光則
鉄道本部 営業部 旅客課 多田光則

多田:私が表示デザインを担当しているのは、自動旅客案内装置という各駅に設置している列車の発車時刻や行先などを案内している機器です。2016年の日比谷線霞ケ関駅を皮切りに、LCD(液晶ディスプレイ)タイプの装置を順次導入しています。従来のLEDタイプから切り替えている理由は、より多くの情報を提供することが可能になり、案内の自由度が高まるためです。

LCDタイプの新型自動旅客案内装置(千代田線 大手町駅)
LCDタイプの新型自動旅客案内装置(千代田線 大手町駅)
従来の自動旅客案内装置(東西線 大手町駅)
従来の自動旅客案内装置(東西線 大手町駅)

自動旅客案内装置の設置にあたっては、お客様がホーム上でどういった情報を知りたいのか。その心理状態も推し量ることが求められます。たとえば行先や発車時刻は、お客様が知りたい最重要情報です。次に来る列車が何駅手前まで接近しているのかを表示させるために、従来は、次発列車の表示エリアを使って表示させなければなりませんでした。しかし新型タイプの場合、表示の自由度が高まったことで、接近情報、次発列車情報ともに、ひとつの画面内で表示することが可能になったのです。一方、改札口付近の案内装置には、あえて列車の接近情報は表示していません。これは改札口付近で表示を見たお客様が「あ、もうすぐ列車がくる!」と思い、駆け込み乗車されることを防止するため。利便性や快適性を向上させていくことは重要ですが、安全が確保できてはじめて実現できることです。

接近表示と次発列車情報を同時に表示することができなかった従来型(東西線 大手町駅)
接近表示と次発列車情報を同時に
表示することができなかった従来型(東西線 大手町駅)
改良された新型装置(千代田線 二重橋駅)
改良された新型装置(千代田線 二重橋前駅)

銀座線では、日中でもほぼ3分間隔の高密度で運行を行っています。行先は概ね終端駅の「浅草」か「渋谷」で運行されていることから、「あと〇分で列車が到着します」という案内を行っています。東京メトロとして初めての試みでしたが、「あと〇分」と表示することで、到着までの時間を直感的に分かりやすくご案内することができます。また、運行本数の少ない上野行の列車が来る場合を除いて、次発列車表示エリアを「列車在線表示」「異常時の運行情報」などの表示を行っています。今後もお客様のご意見に耳を傾けながら、より分かりやすい表示を目指していくつもりです。

運転間隔が短く、行先が限られる銀座線では先発列車到着までの時間を表示(銀座線 虎ノ門駅)
運転間隔が短く、行先が限られる銀座線では
先発列車到着までの時間を表示(銀座線 虎ノ門駅)

サインシステム・自動旅客案内装置の
進化は止まらない!

これまでのたくさんの苦労についてもどこか誇らしげに話す
これまでのたくさんの苦労についても
どこか誇らしげに話す

安倍:私は、駅勤務を経験後に案内サインの設計に携わることになりました。その経験があるので、設計をする際には、お客様のご案内にあたる駅社員をもサポートできるサインになるかを心がけています。そのためには、駅社員と打ち合わせを行い、お客様のご要望を正確に把握し、効果的な表示内容を見やすく配置することが大切だと考えます。たとえば、海外からのお客様でも、国や地域によって好まれる観光スポットは異なりますので、駅をご利用になるお客様の特性を把握しながら設計を行っています。お客様がより快適に駅をご利用いただくために、サインシステムの仕事は終わりがありません。

マニュアルに沿った設計が基本だが、ときにはマニュアルにないものを形にすることも
マニュアルに沿った設計が基本だが、
ときにはマニュアルにないものを形にすることも
制約があるからこそ考えがいがある、と意気込みを語る
制約があるからこそ考えがいがある、と意気込みを語る

多田:自動旅客案内装置は、縦およそ25センチ、横およそ100センチ。限られたスペースでどんな情報をどう表示するかのいわば“戦い”です。とくに地下鉄は天井の高さに限りがあり、装置を大きくすることができません。LCDの装置を導入した当初は、画面内に情報を詰め込み過ぎてしまったことがありました。他言語の表記に合わせ、日本語の表記にもふりがなを付けたのですが、「文字が小さくて見えにくくなった」というご意見を頂戴してしまったのです。
あらためて、表示全体の見直しを行い、一番大事な行先を表示するスペースを可能な限り大きくしました。また、背景の色は紺から黒に、文字の色は薄いクリーム色に変え、文字の太さを少し細くすることで、見やすさにもこだわりました。その結果、お客様からご意見も少なくなり、表示画面の見直しに取り組んでよかったと感じることができました。ちなみに上司からも「見やすくなったね」と褒められました(笑)

原寸大で出力して、以前のタイプとの見やすさを比較検討する
原寸大で出力して、
以前のタイプとの見やすさを比較検討する

可能な限りの
「見える化」で、
お客様に安全・安心を!

地下から地上へ、地上から地下へ。移動されるお客様を導く「サインシステム」。列車をご利用になるお客様にタイムリーな情報を提供する「自動旅客案内装置」。これらのサービスは、地下と地上をつなぐルートや、これからやって来る列車という「見えない情報」を、「見える情報」へと変える役割を果たすものです。
東京メトロの駅は、1日約742万人の多様なお客様が利用します。だからこそ、すべてのお客様にわかりやすく、という意志が貫かれているのです。最近では、スマートフォンでも時刻表や乗り換え案内などの情報を取得することも可能ですが、そういった方にも迅速できめ細やかな情報を、駅やホームで提供することが重要です。すべては、お客様一人ひとりの不安を取り除き、そのさきにある“快適で便利なメトロ”をつくりたいという強い気持ちがあるのです。

企画制作:メトロアドエージェンシー
クリエイティブディレクター:安藤 寛志
ライター:望月 崇史
カメラマン:本多 智行

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