INTERVIEW 輸送サービスの改善篇 Aug. 2019 Update

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毎日の営業線を止めることなく、
未来の輸送サービス改善を目指して。~東京メトロ東西線 南砂町駅改良工事の今とこれから~

1969(昭和44)年3月29日、全線30.8㎞が開業した東西線。それから半世紀、沿線の街は想像以上の大きな発展を遂げ、大変多くのお客様にご利用いただくようになりました。その結果、朝の通勤・通学時間の混雑が大きな課題となっています。混雑を緩和し、快適に東西線をご利用いただけるよう、東京メトロでは現在、複数の駅で大規模改良工事を行っています。今回は、改良工事の担当者と東西線の車掌の2人の視点から、混雑緩和のキーとなる工事が行われている「南砂町駅」にフォーカスします。

SECTION : 01東西線を休ませることなく、
安全に工事を進めるには?

改良建設部 第三工事事務所
技術課第一担当 吉田裕介

吉田:南砂町駅のトンネルは軟弱な地盤の中にあります。工事は営業中のトンネルのすぐとなりで行っているため、トンネル内に沈下計・傾斜計・ひずみ計・継目計の計測機器を設置することで、異常の疑いがある場合は、工事責任者の携帯電話にメールが送信されるシステムを運用し、メールが送信された場合は早急に現地を確認する体制をとっています。また線路内での工事は、終電後の午前1時頃から初電前の午前4時頃までの間で、準備・片付けの時間を除くと実作業時間は2時間程度です。そのため、施工計画を緻密に立て、それを厳格に守ることが求められています。

現場に設置された計測機器から
情報が送られてくることも。
異常な数値を示した時には
現場に向かい確認する。

難易度の高い工事内容については、「営業線安全施工研究会」と題し、改良建設部の部長以下、多くの社員がさまざまな視点から意見を出し合い、より良い施工計画を策定する場を設けています。現在(2019年7月時点)、東陽町側のトンネル下の掘削作業を実施しており、日々、計測機器の数値を確認しながら工事を進めています。今後は西葛西側から側壁と上床(トンネルの天井)を撤去する作業に移ります。上床を撤去するためには建築限界※を侵さないよう、限られた空間の中に架線を受替える仮の設備を設けなければならないため、慎重に施工計画を組み立てています。

※ 列車が安全に通行できるように余裕をもって決められた軌道上の空間の境界線。あらゆる施設はこの境界線の外側につくられなければなりません。

現場の進捗をこと細かに記録することで、
つぎの工事に生かされていく。

SECTION : 02車掌の立場から見た改良工事について聞かせてください。

運転部 東西線乗務管区
東陽町車掌事務室
統括車掌 寺田雄一

寺田:列車に乗務していると、壁がなくなっていた、仮囲いができた、工事の音が聞こえるな…といった変化を少しずつ感じることがあり、工事の進捗状況が自然と目や耳に入ってきます。とはいえ工事区間を走行する場合に、列車の振動が増えたりすることはありませんので、お客様は気が付かないかもしれません。そういう意味では、緻密な計画の上に工事が行われているんだなと感じています。

西船橋方面から中野方面に向かう東西線は、南砂町駅から地下に潜ります。朝のラッシュ時間帯、中野方面行きの列車は、荒川橋梁(西葛西駅~南砂町駅間)の辺りで停車してしまうことがあります。これは前の列車との間隔が詰まり、列車が渋滞してしまうために起こります。もちろん本来はそうならないことが望ましいのですが、ラッシュ時間帯にはどうしても駅での乗降に時間を要してしまうことがあるのです。乗務する立場としては、状況に応じて案内放送の内容を工夫するなど、お客様の不安を和らげるように心がけています。「しばらくお待ちください」とお伝えするだけでなく、「列車の間隔を調整しています」「前の列車が駅に停車中です」など、具体的な情報をお伝えします。そういった意味でも、南砂町駅が改良されるのは待ち遠しいですね。

朝夕のラッシュ時間帯の東西線はおよそ2~3分間隔でダイヤが組まれている。
乗務前には1秒の誤差もないよう、毎出勤時正確に時計を合わせるのがルール。

こうした課題を解決するために進められているのが、南砂町駅のホームと線路を1本ずつ増やす改良工事です。この改良工事によって、東西線の列車の流れはどのように変わるのでしょうか?

みなさん一度は遊んだことがある!?
鉄道玩具プラレールを使って解説してもらいました!

  1. 01

    現在の南砂町駅。1面2線(1つのホームと2本の線路)のシンプルな構造。

  2. 02

    ラッシュ時間帯はお客様の乗り降りに時間がかかり、停車時間が長くなりがち。そのため前の列車が発車するまで、後続の列車は南砂町駅に入ることができず、渋滞が発生してしまいます。

  3. 03

    改良工事完成後の南砂町駅。2面3線化(2つのホームと3本の線路を設置)することでホーム上の混雑を緩和。

  4. 04

    線路が増えることで、先行の列車が停車していても、後続の列車が駅に進入できるようになります。これにより駅の手前で停車する必要がなくなります。

  5. 05

    同時に中野方面行きの2本の列車が駅に進入することが可能になります。また、工事によって現在よりもホーム幅が広がります。さらに、エスカレーターを増やしたり、動く歩道を新設したり、駅全体としてもより利用しやすい駅に。

  6. 06

    先行列車が、中野方面に向けて発車します。空いた方の線路にはさらに後続の列車が進入。2本の線路を交互に使用することを「交互発着」と言います。

SECTION : 031つずつステップを進めながら、
より便利な東西線へ!

吉田:日々の電車を止めることなく、供用開始を迎えるための線路切替のステップは以下のとおりです。
まず、中野方面行きの線路の南側に、線路とホームを作る工事を行います(下図 STEP.01)。
その後、中野方面行きの列車を南側の新しい線路に移し、つぎに真ん中の線路の工事を行います(下図 STEP.02)。
この時からお客様には新しいホームをご利用いただきますので、駅が変わってきたことを実感いただけるのではないかと思います。真ん中の線路が完成後、西船橋方面行きの列車を一度その線路に移し(下図 STEP.03)、
北側の線路の工事を行って、2027年の「2面3線化」の供用開始を迎えることになります(下図 STEP.04)。
もし、1面2線から2面3線へと、全ての線路を一気に改良しようとすれば、列車を長期間運休するなど、お客様への影響は甚大です。お客様の日常生活になるべく支障をきたさないように工事を進めるための工程を組んでいます。

寺田:東西線に10年以上乗務して思うのは、沿線にマンションが増えたことです。そんななかでもとくに外国人のお客様も増えているな、という実感もあります。またお客様と向き合う姿勢としては、自分の家族が乗っているという気持ちで乗務するように心がけています。この改良工事によって列車がスムーズに走ったり、混雑が解消されたりすることで、多くのお客様の一層の安心につながることを楽しみにしています。

  1. STEP.01
  2. STEP.02
  3. STEP.03
  4. STEP.04

ダイヤグラムによる毎日の安全安定運行と、
現場工程表による未来の利便性向上。
緻密な計画の上に、それぞれが走り続けている。

車掌が決して手放すことのない、列車運行の要・ダイヤグラム。そして改良工事の現場には、広範囲かつ長期に渡る作業を順序よく進めるために可視化した工程表が存在します。それぞれの“計画”に沿って、それぞれの現場が業務を遂行することで、「今」と「未来」の東西線を走らせることが可能になります。すべての仕事に携わる社員たちの切なる気持ちが、東京メトロのサービスを進化させているのです。

企画制作:メトロアドエージェンシー
クリエイティブディレクター:安藤 寛志
ライター:望月 崇史
カメラマン:本多 智行
© TOMY  「プラレール」は株式会社タカラトミーの登録商標です。

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